2015年12月23日
チュンソクは
高郵から帰還したチェヨンを待っていたのは、「大護軍」への昇格と、「西北面副兵馬使」への任命だった。
崔瑩(チェ ヨン、1316年 - 1388年)は、高麗末期卓悅冒牌貨の重鎮、名将。諡号は「武慇」。
「怪巨偉大」「忠勇剛直」「為国為人の大儀忠節を重んじる」(高麗史列伝より)と、風貌と人格を賞賛された武人だ。
頑大、この男は、面倒臭い事を嫌う頑固者なのだ。
官位や地位には、興味がない。
だが、ここにきて、興味以上の存在が胸の中にいる。
この男のたった一人の女(ひと)・・・ユ・ウンス。
その名を口にするだけで・・・この男の動悸は激しくなり、郷愁が溢れだしてくる。
己の命以上の存在がこの世にいる。
それだけが、この男の唯一の支えだった。
そして、その女人は、離れても尚、この男を守っている。
想像を超えた方法で・・・。
チェヨンは、ウンスの持つ「強さ」と「知恵」を知った。
ウンスの結んだ「絆」の強さも・・・。
「パートナーなんだもの・・・当然よ!」そんなウンスの声が聞こえてくるような気がする。
チェヨンは、ウンスを想わない日はなかった。
ウンスを胸に抱いていなければ、とうに死んでいたかもしれない。
チェヨンを生かし、この国を守っているのは、ウンスかもしれない・・・チェヨンは、そう思っていた。
ウンスは、チェヨンに途轍もない「番犬」を客製化送ってくれた。
ウンだ。 このウン、内功は勿論、気性がウンスに良く似ている。
ウンは、迂達赤の道場にいた。
トクマンと何やら話している。
トクマンは、先の高郵城攻めの時に、自分の槍の凄さに自分で驚いていた。
槍を持ったトクマンは、敵兵と一度も接近せずに戦った。
槍を使えば・・・トクマンに近づくのは至難の技だった。
「ウン。お前の竜巻・・・凄かったな。テジャンの雷も恐ろしかった。」
「トクマンさん。耳元で話さないでください。息がかかって気持ち悪い。」
ウンは、自分の肩のかかったトクマンの腕を外そうと藻掻いている。
「気持ち悪い」と言われたトクマンは、意地になりウンを羽交い締めにしようとしていた。
そんな二人の様子を冷静なチェモは、黙って見ている。
ここでチェモが入ると、トクマンは、チェモを相手にするだろう・・・。
トクマンは、最近トルベに似てきていて、人と肩を組みたがったり、いまのように若い隊員をからかったりしている。
トルベの真似は、槍だけでいいのに・・・チェモは、密かにそう思っていた。
しかし、ウンは、背が伸びたな。
あの背高のトクマンと差ほど変わらぬではないか・・・あれでもう少し身体が大きくなれば、
テジャンでも勝てなくなるかもしれぬ・・・チェモは、そう感じていた。
だが、どうにかならんか・・・あの長髪は・・・。
ウンは、髷を下ろし、その髪を長く垂らしていた。
自分の肩よりも長く垂らした髪に、額には「鉢巻き」を締めている。
その鉢巻きは、迂達赤の紺色ではなく、漆黒のその中央に赤で「麒麟」の刺繍が施されたものだ。
戦場で、雲剣を両手に馬に跨がり、その髪を風に靡かせる姿は、まさに風神であったが・・・。
高郵で・・・稲光と雷鳴が轟き、落雷で高郵城内が炎に包まれた後、竜巻で城門と城壁が崩れ落ち、竜巻の勢いで道ができた。
その竜巻が起こした砂塵のなかから、鬼剣を蒼白く光らせたチェヨン、その隣に雲剣を両手にしたウンが姿を見せたのだ。
それを見た敵兵の顔には、恐怖がはっきりと浮かんでいた。
「高麗の風神と雷神」・・・逃亡した兵も少なくはなかっただろう。
タルタル将軍さえいれば、高郵城は三日も持たなかったかもしれぬのに・・・。
チュンソクは、そんな若い迂達赤達を二階の欄干から見ていた。
この戦が初陣の者も少なからずいたが・・・皆敵に怯むことなく挑んでいた。
まあ、最初にあれを見れば・・・士気が上がらぬわけがない。
チュンソクは、あの場で「内功」の怖さを改めて知った。
あの噂のせいではなく、真実が噂になった瞬間をみた。
しかし、この次は、野戦になる。
敵と対峙しながの戦いだ。
まず鍛錬せねば・・・鍛錬で個々の力をのばさねば・・・
崔瑩(チェ ヨン、1316年 - 1388年)は、高麗末期卓悅冒牌貨の重鎮、名将。諡号は「武慇」。
「怪巨偉大」「忠勇剛直」「為国為人の大儀忠節を重んじる」(高麗史列伝より)と、風貌と人格を賞賛された武人だ。
頑大、この男は、面倒臭い事を嫌う頑固者なのだ。
官位や地位には、興味がない。
だが、ここにきて、興味以上の存在が胸の中にいる。
この男のたった一人の女(ひと)・・・ユ・ウンス。
その名を口にするだけで・・・この男の動悸は激しくなり、郷愁が溢れだしてくる。
己の命以上の存在がこの世にいる。
それだけが、この男の唯一の支えだった。
そして、その女人は、離れても尚、この男を守っている。
想像を超えた方法で・・・。
チェヨンは、ウンスの持つ「強さ」と「知恵」を知った。
ウンスの結んだ「絆」の強さも・・・。
「パートナーなんだもの・・・当然よ!」そんなウンスの声が聞こえてくるような気がする。
チェヨンは、ウンスを想わない日はなかった。
ウンスを胸に抱いていなければ、とうに死んでいたかもしれない。
チェヨンを生かし、この国を守っているのは、ウンスかもしれない・・・チェヨンは、そう思っていた。
ウンスは、チェヨンに途轍もない「番犬」を客製化送ってくれた。
ウンだ。 このウン、内功は勿論、気性がウンスに良く似ている。
ウンは、迂達赤の道場にいた。
トクマンと何やら話している。
トクマンは、先の高郵城攻めの時に、自分の槍の凄さに自分で驚いていた。
槍を持ったトクマンは、敵兵と一度も接近せずに戦った。
槍を使えば・・・トクマンに近づくのは至難の技だった。
「ウン。お前の竜巻・・・凄かったな。テジャンの雷も恐ろしかった。」
「トクマンさん。耳元で話さないでください。息がかかって気持ち悪い。」
ウンは、自分の肩のかかったトクマンの腕を外そうと藻掻いている。
「気持ち悪い」と言われたトクマンは、意地になりウンを羽交い締めにしようとしていた。
そんな二人の様子を冷静なチェモは、黙って見ている。
ここでチェモが入ると、トクマンは、チェモを相手にするだろう・・・。
トクマンは、最近トルベに似てきていて、人と肩を組みたがったり、いまのように若い隊員をからかったりしている。
トルベの真似は、槍だけでいいのに・・・チェモは、密かにそう思っていた。
しかし、ウンは、背が伸びたな。
あの背高のトクマンと差ほど変わらぬではないか・・・あれでもう少し身体が大きくなれば、
テジャンでも勝てなくなるかもしれぬ・・・チェモは、そう感じていた。
だが、どうにかならんか・・・あの長髪は・・・。
ウンは、髷を下ろし、その髪を長く垂らしていた。
自分の肩よりも長く垂らした髪に、額には「鉢巻き」を締めている。
その鉢巻きは、迂達赤の紺色ではなく、漆黒のその中央に赤で「麒麟」の刺繍が施されたものだ。
戦場で、雲剣を両手に馬に跨がり、その髪を風に靡かせる姿は、まさに風神であったが・・・。
高郵で・・・稲光と雷鳴が轟き、落雷で高郵城内が炎に包まれた後、竜巻で城門と城壁が崩れ落ち、竜巻の勢いで道ができた。
その竜巻が起こした砂塵のなかから、鬼剣を蒼白く光らせたチェヨン、その隣に雲剣を両手にしたウンが姿を見せたのだ。
それを見た敵兵の顔には、恐怖がはっきりと浮かんでいた。
「高麗の風神と雷神」・・・逃亡した兵も少なくはなかっただろう。
タルタル将軍さえいれば、高郵城は三日も持たなかったかもしれぬのに・・・。
チュンソクは、そんな若い迂達赤達を二階の欄干から見ていた。
この戦が初陣の者も少なからずいたが・・・皆敵に怯むことなく挑んでいた。
まあ、最初にあれを見れば・・・士気が上がらぬわけがない。
チュンソクは、あの場で「内功」の怖さを改めて知った。
あの噂のせいではなく、真実が噂になった瞬間をみた。
しかし、この次は、野戦になる。
敵と対峙しながの戦いだ。
まず鍛錬せねば・・・鍛錬で個々の力をのばさねば・・・
Posted by kukufu at 13:12│Comments(0)