2016年02月22日
ラ・トレムイユの後釜
「これは、ヨランド様、ご機嫌うるわしゅう……」
オルレアンの私生児、ジャン・ド・デュノワがラ・イールより早くそう挨拶をしようとすると、フランス王シャルル7世の義理の母は、手でそれを制した。
「結構。うるわしくなどありませんから」
「は、はぁ……」
ジャンが困った表情になると、王の義理の母、ヨランド・タラゴンの後ろに控えていた長身の青年が苦笑した。
「ヨランド様、そういじめられずともよいではありませんか。二人とも、我らの大事な戦力となるのですから」
聞き覚えのある凛としたその声に、二人が声の方を見ると、そこではアルテュール・ド・リッシモンがにこやかに微笑んでいたreenex。
「大元帥!」
懐かしい顔を見て、ラ・イールが嬉しそうにそう叫ぶと、彼は苦笑しながらそれを制した。
「気が早いぞ、ラ・イール。私はまだ大元帥に戻ったわけではないのだからな」
「大丈夫です。リッシモン様なら、すぐに戻れますって! それに、俺はリッシモン様の下でしか働くつもりはありませんし」
そう言ってニカッと笑うラ・イールに、アルテュールも微笑んだ。その言葉に偽りは無いと分かったので。
「ラ・イール殿、今はそういう話をしている場合ではなかろう?」
そんな彼をたしなめたのは、ジャン・ド・デュノワだった。
彼はそう言うと、再びヨランドにうやうやしくお辞儀をした。
「それで、我々がお力になれることとは何でしょうかreenex?」
「ラ・トレムイユを捕らえるのです」
ヨランド・タラゴンのその言葉に、思わずラ・イールとジャンは顔を見合わせた。
そんな二人に、ヨランドは続けた。
「まさか二人とも、フランスの宮廷が今のままで良いとは思っているのですか? いつまでもあの乙女をただ見殺しにした、と言われ続けたいのですか?」
「いえ、それは………」
ラ・イールが困った表情でそう言うと、ジャンが尋ねた。
「それは勿論良くありませんが、具体的にどのような罪で捕らえられるおつもりなのですか?」
「陛下を良くない方向に導いた罪で充分でしょう」
「そ、それは、確かに……」
単純で、直情的なラ・イールがそう言って頷く横で、ジャンは難しい表情になった。
「それだけで、果たして宮廷が変わるものでしょうか? 乙女を見殺しにいたという事実は、いくら陛下の侍従を失脚させたとて、変わらぬと思いますが……」
「陛下はちゃんと動かれていたのだよ、デュノワ殿」
そう言ったのは、アルテュールだった。
「まことですか?」
「ああ。各地に放っておいた密偵から知らせがあってな、ブルゴーニュ公に使いを出されていたというのが分かったのだ。乙女をイギリスに引き渡すのならば、陛下が捕らえておいでの公の部下も、乙女と同じ目に合わせる、とな」
「何と!」
ラ・イールとジャンは、同時に驚きの声をあげた。
「流石は陛下だ! それでこそ、身命を賭してお仕えする甲斐があるというもの!」
嬉しそうに顔を紅潮させてそう言うラ・イールをチラリと見ると、ジャンは尋ねたbeautymama。
「では、その件でラ・トレムイユを責めるとして、誰を後任に推挙されるおつもりなのですか?」
「メーヌ伯シャルルを」
その名に、ジャンとラ・イールは再び顔を見合わせた。
オルレアンの私生児、ジャン・ド・デュノワがラ・イールより早くそう挨拶をしようとすると、フランス王シャルル7世の義理の母は、手でそれを制した。
「結構。うるわしくなどありませんから」
「は、はぁ……」
ジャンが困った表情になると、王の義理の母、ヨランド・タラゴンの後ろに控えていた長身の青年が苦笑した。
「ヨランド様、そういじめられずともよいではありませんか。二人とも、我らの大事な戦力となるのですから」
聞き覚えのある凛としたその声に、二人が声の方を見ると、そこではアルテュール・ド・リッシモンがにこやかに微笑んでいたreenex。
「大元帥!」
懐かしい顔を見て、ラ・イールが嬉しそうにそう叫ぶと、彼は苦笑しながらそれを制した。
「気が早いぞ、ラ・イール。私はまだ大元帥に戻ったわけではないのだからな」
「大丈夫です。リッシモン様なら、すぐに戻れますって! それに、俺はリッシモン様の下でしか働くつもりはありませんし」
そう言ってニカッと笑うラ・イールに、アルテュールも微笑んだ。その言葉に偽りは無いと分かったので。
「ラ・イール殿、今はそういう話をしている場合ではなかろう?」
そんな彼をたしなめたのは、ジャン・ド・デュノワだった。
彼はそう言うと、再びヨランドにうやうやしくお辞儀をした。
「それで、我々がお力になれることとは何でしょうかreenex?」
「ラ・トレムイユを捕らえるのです」
ヨランド・タラゴンのその言葉に、思わずラ・イールとジャンは顔を見合わせた。
そんな二人に、ヨランドは続けた。
「まさか二人とも、フランスの宮廷が今のままで良いとは思っているのですか? いつまでもあの乙女をただ見殺しにした、と言われ続けたいのですか?」
「いえ、それは………」
ラ・イールが困った表情でそう言うと、ジャンが尋ねた。
「それは勿論良くありませんが、具体的にどのような罪で捕らえられるおつもりなのですか?」
「陛下を良くない方向に導いた罪で充分でしょう」
「そ、それは、確かに……」
単純で、直情的なラ・イールがそう言って頷く横で、ジャンは難しい表情になった。
「それだけで、果たして宮廷が変わるものでしょうか? 乙女を見殺しにいたという事実は、いくら陛下の侍従を失脚させたとて、変わらぬと思いますが……」
「陛下はちゃんと動かれていたのだよ、デュノワ殿」
そう言ったのは、アルテュールだった。
「まことですか?」
「ああ。各地に放っておいた密偵から知らせがあってな、ブルゴーニュ公に使いを出されていたというのが分かったのだ。乙女をイギリスに引き渡すのならば、陛下が捕らえておいでの公の部下も、乙女と同じ目に合わせる、とな」
「何と!」
ラ・イールとジャンは、同時に驚きの声をあげた。
「流石は陛下だ! それでこそ、身命を賭してお仕えする甲斐があるというもの!」
嬉しそうに顔を紅潮させてそう言うラ・イールをチラリと見ると、ジャンは尋ねたbeautymama。
「では、その件でラ・トレムイユを責めるとして、誰を後任に推挙されるおつもりなのですか?」
「メーヌ伯シャルルを」
その名に、ジャンとラ・イールは再び顔を見合わせた。
Posted by kukufu at 18:09│Comments(0)