はそれるかもですが

庭中、五か所に百花繚乱で競い合っている歌壇には、可愛く太陽に歌うネモフィラやアネモネ、リナリアなどがその華やかさを増している。
四匹の猫たちは、ナンシーの大切な花たちを踏み砕きながら、元気に駆け回ってはじゃれあって遊びほうけている。
それも嬉しいナンシーは、夕暮れになると庭の花たちを慰めるように後片付けをする毎日であった。
　
あの日以来、ジョイは「愛と平和の使者」の務めを、それとは知らずに果たしていた。
悲しい過去を持つ三匹の猫たちと毎日の遊びや昼寝の合間合間に・・・笑いながら、そして時には真剣に涙と共に語り合う関係になっていた。
そして、ジョイは、ボスつまりニッキーとレッドとテールが同じ母猫から産まれた兄弟姉妹であることが分かった。
そして、その母親が昨年の初冬に捕獲され処分された事も分かった。
その後、兄のニッキーの命がけの保護の中で、弟レッドと小さな妹テールが何とか生き延びてきた。
その辛い日々についても知った。
ジョイの方も、小さな時から最初の飼い主から聞いてきた「愛と平和の話」から始めて猫社会での歓びと試練を切々と話した。
今は故人となったサムが死んだ冬の話の時には、四匹で「ニャーゴニャーゴ」と共に泣い楊海成た。
ニッキーたち三匹には母の死の悲しみが鮮やかによみがえりひとつになったのだった。
そうして虹屋敷の四匹の絆は日毎に深まっていった。
ジョイは、二度目の飼い主のローズの家での暮らしぶりを朗らかに説明し、聡明なモーリーとの出会いで学んだ彼女の信念のある話も伝えた。
最近では、今の飼い主オマール夫妻への初めの印象とその後の現実とのギャップから自己反省をしたことを真摯な顔で説明した。